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よしこの乗馬日記 2



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21鞍目 5月6日(月) 7:50 − 8:30  Northern Crown/ R

 昨夜雨がずっと降っていたので、馬場がぬかるんでダメだろう、と行かないつもりだった(ちょっと邪魔くさくもあったし)。でも、実際にはれほど濡れていなかった。ニンジンを持っていった。「今日はこの馬です」と用意してくれたのは、憧れのノーザンクラウン。ひと回り大きいような気がする。雄だけれどお腹が大きい。腹帯をしめるのに、なぜか苦労していた。ものすごい力がいる。私はそのうち自分で装備できるようなるのかしら。
 しばらく歩いてから、トロットに入ろうとしたが、全然動いてくれない。インストラクターは、私が自分でできるようにと、ほとんど見てるだけ。「キック!」と何度も言われるが、とにかくスタートしない。手綱をそろえて持つこと、前に乗ることの注意。
 くつわを持って走ってくれて、それから、調子がついた。でも、最初は、一周回りきらずにすぐ遅くなって待ったり、止まったりした。そのうち、小枝をむしって作った即席のむちを渡された。蹴って動かないときは、使うように、と。最初、むちの使い方を躊躇していると、「馬にとっては痛くないよ。アリにさされたようなものだ」と笑われた。
 上下の時の腰の位置と、手の位置に気をつけながらトロットをした。あぶみをぐっと踏みつけながら、ひざをしめると、上下運動がやりやすいことがわかった。お尻を上げているというのではなく、自然にあがってくるという感じ。リズムがついて、とても気持ちいい。今度は、何周も続けて回った。インストラクターが何気なくネパールの民謡「レッサム・ピリリ」を口ずさんだ。気がつくと、ノーザンクラウンが、鼻歌でリズムを取っている。わ!馬が歌を歌っている。上機嫌なのだ。最後に、急速回転してから、止まれ、の練習をした。降り方の復習をした。動作ひとつづつ、止めること。
 今日は、馬の新しいネームプレートが英語とネパール文字で付いていた。今まで、古いプレートが実際の名前と関係なくそれぞれのおうちについていたので、なかなか、馬の名前と顔が一致しなかった。全部で12頭。


22鞍目 5月8日(水) 7:50 −8:30  Adam’s Choice/ K

「この馬はよく走るからね」名前は、アダムズ・チョイス。ということは、イブですね。本当によく走った。何もしないでも、トロットをさっさとする。むしろ、歩かせるほうがむずかしい。これは、18鞍目で私が乗ったSwift Lady を先導してくれた馬だ。あの時も気持ちよかったけれど、今回は、まったく一人でどんどん乗れたから、とても楽しい。丸く回ったけれど、馬場のあちこちがぬかるんでいて、足を取られるところがある。馬はなんどか軽いつまづきをした。土を入れなおしてきれいにしておかないと、あぶない。
  鞍の前に乗ることを心がけた。注意は、速度が弱くなる前に "Kick !" そして、内側の手綱を締めること。内回りのとき体重をこころもち内側に倒すこと。
 馬場には、大回りでカンターをやっている調教師とネパール人の8歳の坊や。時々、コースが重なる。うちの馬が間違えて、カンターしてしまうかもしれない、とちょっとひやひやした。それに、タケオの殿様乗りが目の前にふらふら来るから、そのたびに速度をおとさなくてはならない。やりにくかった。そのうちタケオは真ん中のほうに呼び寄せられて、レーンジングになったので、私は自分一人のペースでできるようになった。
  インストラクターが、「よしこっ」と何度も叫んでいるので、タケオが私の名前を教えたのかと思った。「よし、行こう!」がなまっていたのだ。なかなか動かない馬にしきりに掛け声をかけているわが夫。
 乗り終わったあと、角砂糖をやったら、戸惑って食べない。水のみ場で世話がかりのおじさんが、「プタリ!」と言った。「プタリ、って?」と聞くと、笑って、「バタフライだ。ニックネーム。」うん、似合っている。イブちゃん。
 今日は、時間があったので、グルーミングをさせてもらった。
MidnightGallantry Award, Easy Street のいる馬房から2頭が運動のため連れ出されたあと、私は、一人でミッドナイトにブラシをかけた。その前に、角砂糖を一個与えた。最初は不審そうにしていたけれど、すごくおいしかったみたい。それから、気を許してくれた。顔や首筋を触ると、とても気持ちいい。おねだりしているような気配だったので、角砂糖をもうひとつあげた。すごくおとなしい子。一応ブラシをかけたけれど、きっとかけ方は弱いと思う。後ろ足で蹴飛ばされるといやなので、後部はおそるおそる。でも、話しかけたり、触ったりして、馬と遊んでいた。楽しい。
  運動から帰ってきたインストラクターに、馬はおとなしかったけれど、うしろの方はちゃんとブラシをかけなかった、と言った。「ミッドナイトはおとなしい馬だ。だから、一人で置いていったんだよ」と彼は言った。それから、後ろの方をブラシするときは、背中を馬の体に当ててながら、いつでも逃げられる体勢で手を伸ばすやり方を教えてくれた。


23鞍目 5月9日(木)7:509:00 Mr. Perfect/Golden Star /K

タケオが早朝乗馬を気に入って、私をせかせて車に乗るようになった。鞍の用意のできたMr. Perfect を馬場まで引いて行った。最初はウォーク。タケオが、殿様乗りでわたしの前を歩く。スリマン・スレマティ(夫・妻)の順だとか言っている。タケオのブラックコマンドにレーンジをつけてトロットの練習。例のごとく、なかなか動かない。私のミスター・パーフェクトも動かない。しばらくは、円周をむなしく歩くのみ。インストラクターが、タケオの馬のくつわを持って走らせてトロットし始めたので、私もその後を追う。うまくいったと思ったら、また止まる。
 私に別の馬を用意させる、とのこと。しばらく一人で鉄柵で体操をして待っていると、おお、ゴールデンスター、王子さまの白灰色馬ではないか。よく走る。何でこんなにパーフェクト君とは違うの? 私ひとりの馬場で大回りのトロットをする。快適、快適。インストラクターは、柵に腰掛けて適当に見ている。フロントに乗れ、という注意と、ひざを曲げ押し付けること、ひじを緩やかに曲げること。曲がるときに手綱を両方引くこと(内側のほうが強いけれど)。
「いい馬だろう?」ほんと。初心者の変なクセがつくといけないので、普通の練習には使わせてもらえなかったのね。

今日、すべての馬の名前が判明した。

1.        Black Commando ブラックコマンド   (M) 黒 おっとり坊や。もとポロ競技
2.        Mr. Perfect    ミスター・パーフェクト (M 茶 食いしん坊の私の馬
3.        Crown Dream   クラウンドリーム  (M)金色
4.        Northern Crown  ノーザンクラウン  (M) 金色 鼻歌を歌う馬 大型
5.        Golden Star    ゴールデンスター (M) 白灰色 俊足
6.        Take It Easy   テイクイットイージー (M)  黒 小柄 軽い
7.        Adam’s Choice  アダムズ・チョイス (F) 茶・白い鼻すじ 美人 
8.        Swift Lady    スウィフトレディ(F) 茶 素直なお嬢さん 俊足
9.        Britinia      ブリティニア (F 濃茶 
10.    Midnight     ミッドナイト (M)濃茶 やせちび
11.    Gallantry Award  ガラントリーアウォード(M) 茶 
12.    Easy Street    イージーストリート (F)茶

5月10日 雨で鞍なし

 タケオは疲れて、行かないと言った。7時半にひとりで家を出たけれど、雨になりそうな気配。案の定、クラブに着く手前でぽつぽつ来た。インストラクターが馬の手入れをしていて、雨がやんだら乗ろうと言った。鞍が濡れるとダメみたい。結局、雨がやまなかったので、乗らなかったが、馬と遊んだ。
 真ん中の馬房の三頭の馬をじっくり観察。
Swift Ladyが一番なついてくれたかな。ブラシが順々に終わると、おじさんのもってきてくれた青草を食べた。不思議なのは、どうして頭を下げたままずっと食べ続けることができるのかということ。食べたものは、あの長い首を逆流して上っていかなくてはならない。 Adam’s Choice を下から見上げてみると、後ろの方に乳房が2つ見えた。あんなところについているとは知らなかった。Swift Lady には見えない。多分、Adam’s Choice はお母さんになったことがあるのだ。
 Swift Lady の左の背中の後ろに痛々しい傷があった。聞くと、レンガの壁に寝ている間にこすったのだということ。壁がざらざらだ。竹かなにかできれいにしあげたほうがいい。
 馬一頭の値段は
50万ルピーだそうだ。80万円ぐらい。昨日タケオと予想していたのは、20万円だったから、ちょっと高い。

24鞍目 5月11日(土) 8:20 - 9:00    Adam’s Choice/K

Adam’s Choice. むちを左手に持たせてくれたが、それはまったく使わなくてもよく、どんどん走った。地面がぬかるんでいて、走りにくかったが、それ以外は、気持ちのよいトロット。「どう、その馬?」「とってもいいわ」と走りながら、私。「そうだろう、僕が調教したんだ」初心者の域から遠ざかるつれ、だんだん秘蔵の馬に乗せてもらえるようになる。手を揃えて下に、という注意と、膝頭を動かさないようにしっかりつける、という注意。それから、曲がる時の手綱の引き方。外側を蹴ること。体を内側に倒すこと。最初は右周りをしていたが、途中、バランスを学ぶために反対周りにせよと言ったので、切り替えた。リズムがつくと、乗っていて楽しいし、疲れない。逃げる馬の手綱を引いてうまくまわれたので、「そう、それだよ。うまい」とほめられた。


25鞍目 5月12日(日)8:20 - 9:00 Adam’s Choice/ K

 久しぶりの晴天。オーナーも珍しく外に出て、あれこれ指図している。やせっぽちのミッドナイトが芝生の上で手入れされている。体中擦り傷だらけで、痛々しい。馬房の壁がひどいのだ。 今日も、Adam’s Choice。よく走る。インストラクターがしばらく運動させたあと私に代わった。乗ろうとする間も動きまわる。いきなりトロット。乗っている間の注意は、フロントに乗れ、と手の位置をそろえ。最初は、左周りトロット。スピードがゆるくなると、私の足の位置をちょっと変えるだけで、さっと速度を上げる。とても反応のいい軽い馬。
 馬場のぬかるみがかわいそう。足が取られる。何度かつんのめりそうになった。
Mr.Perfect  もしょっちゅう足を取られていたけれど、これより軽いつんのめりで私は最初は落ちたのだ。思い通りの方向と速さに馬を動かす手綱さばきと体の重心。うんうん、楽しい。馬が言うことを聞いてくれると気持ちいい。ひざがしっかりしてくると、体の上下運動も自然になるように思う。疲れないし。「すごくよくなってきたね!」とお褒めの言葉。「いい馬、いい調教師よ!」と私は返した。「サンキュー」。
 
レーンジングの終わったタケオが私のコースに歩いて混ざる。それから、いつものネパール青年の大回りトロット。ぬかるみのなかの込み合い。カビンドラは、私とネパール青年の二人に、前傾する方法を教えた。鐙に立ち上がって馬の首に体を乗り出す競馬スタイル。膝の力で支える。体を安定させるトレーニングだ。落ちそうになったとき、とっさに体を支えられるように。
 最後の5分ぐらいは、私一人で、好きなようにトロット。
 
三きょうだいが来た。下の子が、私の馬に乗りたいらしいので、交代。しんご君には、ノーザンクラウン。レッサンピリリを歌う馬だ。ともみちゃんには、Swift Lady。この子が、私になついたので、ちょっとうれしかった。出発まえ、私の肩に鼻をのせて、甘えるしぐさをした。あの雨の日、かなり長いことお話ししたものね、Swift Lady
 洗い場に行くと、スタッフが全員で馬の水洗いをしている。
「僕が見ていないと、みんなちゃんとやらない」とオーナーはなにやらぶつぶつ。今日は、徹底的にやらしているみたい。どの馬も水をかけられている。スクイージーで馬の体の水分を丁寧に取っていた。
「ずいぶん長いこと会ってませんね。忙しかったの?」
と私が言うと、オーナーは、「そうなんだよね。このところ、朝、おそいもんで。わかっているんだけれどね、監督しなくてはいけないこと」

 今日は、乗馬関係のホームページいくつか見る。乗り方、マナー、馬の扱い、スタイルについて、かなり分かってきた。ウェスタンの乗り方も結構楽しそう。
常歩、軽速歩、速歩は、つまり、walk, trot, canter に相当するのだろう。左手前、右手前というのが、まだよく分からない。単なる曲がる方向? うちの乗馬クラブのパンフレットを読むと、near-fore canter(left circle), off-fore canter (right circle) となっている。これのことかな。


26鞍目 5月13日(月)7:40  -  8:30  Adam’s Choice/ K

三度目の落馬。イブちゃんのトロットの調子はとてもよかったのに、輪乗りの方向を変えるときに、リズムが狂って落ちてしまった。以前の2回よりやや衝撃が大きかったけれど、痛くはない。「あれ、落ちちゃった。何で落ちるのかなあ」と不思議に思いながら、気が付くと地面。たぶん馬の首に手は掛けたのだと思うけれど、止める力になっていないのだ。脚力もあてにならないんだなあ。油断かも。インストラクターはよそ見していたので、なぜ落ちたか分からなくて、”What happened?” タケオもいた。びっくりさせちゃった。明るくいいお天気。
「よし、行こう!」とタケオがくり返すので、インストラクターたちも、「よしこっ!」

 私は落ちてから、すぐ乗りなおして練習続行。右まわりの練習。池のほとり側はちゃんと回れるのに、反対側になると、なぜか力がかかってうまくまわれない。右手綱を引いて、体の重心も内側によせているのに、馬が回りにくそうにする。不思議なのは、同じ場所(森側のコーナー)でよくつまずき加減になること。癖が付いているのか、一種の条件反射なのかな。かなりひどいつまずきもあった。
 最後に、もっとトロットのスピードを上げてみて、と言われた。どうすればいいのかな、体を前傾気味にする? 蹴る? 早めにと念じたら、心持速くなったかな。
 鞍とハミをはずした。鞍のつけ方を覚えなくては、というと、次回教えるとのこと。Black Commando Mr.Perfect が、私の手をなめに来る。「角砂糖ちょうだい、ちょうだい。」と言っている。でも、もう馬を甘やかさないことにした。この二人、単純でかわいいよ。
 
Kのお気に入りは Swift Lady. この子は若くて素直なお嬢さん。私の耳にぴったり鼻を寄せて、ふうふう、息をかけてくる。何かお話ししたいのね。ブリタニアは、何もつけずにその辺の芝生の上をうろうろ歩き回ってた。鞍の支度と馬の手入れをセットにしてレッスンに取り入れる提言をしておいた。まだ、その準備ができていないようなことだったが、考慮には入れている。
 帰り際、別のインストラクターがうしろから
私を呼んだ。「きょう、落ちたの?」 私は、まずいと口を押さえた。「どうして? しっかりつかまるんだよ。ぐっと。」顔を曇らせている。「でもね、あまり急だったから…。一度にいくつものことをやろうとしたの」
「申し訳のないことでした」と彼は、胸に手を置いて、頭を下げる。
「いえいえ、私が悪いのよ」
 ああ、みんなに心配かけてるなあ。


27鞍目 515日(水)7:408:20 Adam’s Choice/ K

  鞍の付けかたの説明を受ける。まず頭部。どの向きに入れるかが分かればいいのかな。左の耳から先だったような。ハミを噛まして、それからベルトの穴を締める。
 鞍は馬の左側からつける。首の付け根の骨から手の一つ分のところに置く。鞍マットは置く前に、裏の埃をよくはたく。鞍のベルトは、後ろ側から先に締める。三つあったら順番に締める。さらに、少しずつ穴に入れなおしてさらに順に締めていく。締め加減は、腹帯と腹の間に手の平が差し入れられるぐらい。馬が動き回るのを抑えなくてはいけないことを除くと、それほど面倒なことでもなさそうだ。力はかなりいるが。
 今日も、
エヴィちゃんの調子は上々。よく走る。地面がぬかるんでいるのがいやだけれど。右周りに変えると、同じところで回りにくそうにする。Rがやってきて、Kと真ん中で雑談。何だろうな、話の中身は。どうも相談ごとのような感じ。あるいは、ちょっとしたもめごと。なんとなく二人ともうわの空。私は、さしずめ、雑談するお母さんたちに適当に見守られながら公園で一人遊ぶ子ども。こういう時って、転んでワーッと泣いてから、気がついたお母たちが駆け寄ってくるのかも。
 案の定、途中でちょっとバランスくずして落ちかけた。「えっ、また?」と自分でもあきれたので、かろうじてとどまった。体持ち直したとき、"Neck !"とRがさけんでいる。一応首につかまらないで足で支えたのであるよ。もう一回やばかったのは、馬が回りきらないで、あらぬ方向へ行ってしまい、止まらなかったとき。しかも、私は左の鐙をはずしたまま。この馬はゆっくり歩くのが苦手? 手綱をもっと短く持つようにとKに注意された。そして、内側へ体重移動すること。 足で支えて、バランスを取っているなという感覚はつかめてきているが。いざとなったら、どうなるか。
 最後に馬を歩かせようとしたが、あまり思い通りに行かない。
Kが手綱さばきのお手本を見せてくれた。


28鞍目 516日(木)7:409:00 Adam’s Choice/ K &R

「今日は、スタッフの数が足りない。馬の世話ができない。Rも休みだ」
「じゃ、早めに切り上げるわ」
「いや、別にいいよ。いつも通りで」

 私が自分で鞍をつけるはずなのに、
Kは、一応、口では説明しながら、いつもの調子でさっさと鞍をつけてしまった。トロットはじめる。エヴィちゃんは、左回り得意。何もしないでも、とっとと走る。昨日と同じ。Kは、特に何も言わないで見てるだけ。どのぐらい時間がたったかな、と見るとまだ、10分ぐらい。調子が出ていないからか。長く感じられる。
 柵の入り口のところに何人かの見かけない人々。新入メンバーかな? Kがやってきて、インド系の学校の名前を言った。これから馬を連れて教えに行かなくてはならない。行っていいだろうか? と言う。ええ、大丈夫よ。私は一人で好きなように乗っていようと思った。
「入り口近くで乗っているほうがいいよ、もし落ちたら発見が早いように」
でも、気になるのか、草むしりのおじさんを一人つけてくれた。近くまできてまじめにしっかり見張る。途中、つま先が鐙に深く入りこみすぎだと注意された。一時預かりのベビーシッターですね、ほとんど。  右回りもやった。まだ時間は早いけれど、ずっとおじさんに見張られているのが窮屈になったので、そろそろ終わろうとウォークに切り替えたら、Rが来た。それで、私はまたトロットを始めた。草むしりのおじさんは、草むしりに専念しはじめた。
 私のつま先は前に行きすぎる。誰でもそうなるので、走りながら意識的に直すというアドバイス。でも、これに神経入れると体がずり落ちることがあるのよね。きのう落ちかけたのは、それが原因かも。手をもう少し、下に下げること。
 しばらくすると、体を上下に動かさないで、鞍に座ったままにしてごらんという指示。何か新しい乗り方の練習だ。何、何?体を後ろにそらせ、おなかをへこませて、胸を張って鞍に座る。顔は前に突き出す。ひじは緩やかに曲げる。手綱は上に上げる。彼が乗って見せてくれた。カンターに移る前にトロットでこれをやっておけば、スムーズに乗れるとのこと。なるほど。結構美しい乗り方。で、私が乗ってやってみたけれど、難しい。鞍の後ろにほとんどもたれるように乗ると、膝が開いて、不安定になる。イブ
ちゃんは、いつもおなじところで小さくつまずく。以前つまずいた記憶があって、そこを通りかかるとつまずくのだ。曲がり方も同じ。曲がりにくい箇所はいつも曲がりにくい。これが、ほんとの「トラウマ」?
 大きく、ジグザグに回って、というので、輪乗りをやめて、自分の行きたい方向にトロットをさせたが、これが難しい。馬というのは、クセで走っているものか。違った指示をするときは、なかなか従ってくれない。終わってから馬を洗った。結んだわらで馬の汗をふき取る。馬の足に気をつけるように、何度も言われた。ブラシをして、少し湿らせたタオルで拭く。そして、湿らした手の平でマッサージ。毛並みにつやが出る。


29 鞍目 5月17日 () 750-820 Adam’s Choice/K

 快調にトロット。左の鐙が長すぎたので調節。でも今度は、短すぎてか、右がまだ長すぎるのか、踏ん張り具合のバランスが微妙に取れていない。「よし、行こう!」が馬場にはやる。K, R, Lが、「よしこーっ!」と私の名前を呼んでいるみたい。
 歩く練習をしたかった。イブちゃんは、自動的にトロットするけれど、本当に命令を聞いているのかよくわからない。それで、自由自在に命令通り歩かせる練習。
”Pull the reign.”  “Kick.” “Squeeze the heel.”と注意。膝を広げて踵を腹にくっつけるようにすると、うまく歩いた。でも、これをもう少し練習したいな。
 イブちゃんを洗った。ひづめの間の泥かきはまだ怖い。傷つけないかと心配。後ろ足は、外へ持ち上げるような感じで。これが、下手すると蹴られるからこわいんだ。それに、足を持ち上げるのは重いし。Kが教えてくれるブラシの使い方は、Rとは違う。顔は、タオルで拭くだけ。イブちゃんのおしりの上の汚れているところは、ブラシで取りきれないので、ダストパンの先でそっとこすった。たてがみもブラシを入れるそう。


30鞍目  5月19日(日)750-830  Adam’s Choice /K

夕べはずっと降り続いていたが、朝は雨が上がっていた。馬場の調子は昨日より悪いかも。鞍の腹を締めるのは相当力がいる。自分でやろうとしたが、一番ゆるい穴でさえ、まずはまらない。やはりKがやってしまう。今日は、大回りをして、自分が行きたいところにトロットをさせるようにした。タケオの馬が私の後をついてきたり、来なかったり。ぬかるみでスピードを落とさないといけないので、乗りにくい、Lさんたちが二頭の鞍をつけてきた。そのトロットについて走る。一時は、タケオと4頭でつながって快調にトロット。やっているうちにだんだん調子がついてくるので、もっとやっていたくなる。Kからは、”Sit in the middle.”  Rからは、手を下に、と注意。
 鞍をはずして、グルーミングをするために、真ん中の馬房へ。足にホースで水をかけ、泥を流す。蹄鉄のなかの泥を掻き出す。やり方を見せてくれたが、実際にはやらせてくれない。体のブラシは私がする。
K、手で毛を掻き出してこする。それから、足マッサージ。「馬用の自動マッサージ機はないの?」「ネパールにはないな。日本にはあるかもしれないけれど」
 
イブちゃんの顔をタオルでふかなくちゃと思った。タオルは? と探したけれどない。Lさんの所に行ってもらった。最初は、雑巾みたいなのだったので、もう少しましなのをもらった。Easy Street のグルーミングも手伝った。.水をかけ、ブラシでこする。後ろ足を洗うとき、すぐ後ろに立ちすぎたので、怒鳴られた。蹴られるかもしれないので、注意が必要。


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